外出

寮生は日頃、学園の敷地から出ることを固く禁じられていた。

許可を取って散髪と歯医者に行くのだけが例外であった。

しかし、休日に府内ならどこへいってもいい日があった。

これを「外出日」という。

この日は外で買い物が出来るため、寮生が最も楽しみにしていた。

そのため、違反者への処罰として最も多いのが「外出禁止」で、

これはそう宣告された次の外出日に外出が出来ないというものだった。

この外出禁止を寮では一般に「外禁」と言った。

外出日は金剛寮では毎月一度あった。その日は朝の9時頃から

夕方の5時の点呼まで外出してよかった。

しかし、この5時の点呼に遅刻した人間は次の外出が外禁となった。

この日は預かり金から5000円のこづかいが出る。

服装は制服だが、制服で出掛けて駅のトイレなどで私服に着替える人間もいた。

外禁の人間は外出出来る人間にお金を渡し、買い物を頼むことが多かった。

外禁の人間は午前中は献身(みささげ)である。

楠寮では外出日は不定期で、寮係が寮生の生活態度を見て決める

ということになっていた。しかし、誰かが問題を起こすとすぐ取り消しになるため、

一学期に一度あるかないかだった。私が3年生の年度は取り消しが

相次ぎ、結局一度も外出はなかったように記憶している。

 

注、「献身」

普通に言うところのボランティア。タダ働き全般を指して使う。

 

戻る 進む