11−1、楠寮
洗い終わった洗濯物は新館の4階の上にある洗濯物干場に干す。
そこはプラスチック製の波板による屋根があり、その下に物干し竿が並べられていた。
おっくうがって寝室に干しているのを寮係に発見されると、没収された。
だが、冬場の夜間に洗濯物干場へ干していると朝には冷凍状態になってしまうので、
夜に干す洗濯物は寮係の目を盗んで寝室に干していた。
ちなみに、ここからの眺望もなかなか良かった。
ここには夜、洗濯物の間を兵隊の幽霊が行進しているという怪談が伝わっていた。
その話の設定では、寮舎のある場所は昔、戦場だったんだそうな。
その設定が本当なら大阪の南方で局地的に本土決戦があったことになる。
もちろんそんなわけはない。しかし、楠寮の怪談も、金剛寮の怪談も
兵隊の幽霊というのはよく現れるものだった。