コラム「暖を求めて」
寮は、屋外よりも屋内の方が寒くなることもある。
特に広い空間と保温性の低い鉄筋コンクリートで
出来た金剛寮舎は、窓も大きいためなおさら冷えやすかった。
そのため、寮生にはいかに暖を取るかが問題としてあった。
夏の暑さも厄介だったが、せいぜい
タイル張りの廊下に寝ころんで床に熱を
放散するくらいしか手はなかった。
真夏の金剛寮には廊下に布団を持ち出して寝ている人間も
稀にいた。熱気の籠もった部屋よりはまだ涼しいからだ。
運悪く見回りに来た寮係に発見されると
部屋へ戻らされるのだが。
寮では、冷暖房は、テスト期間中の昼の勉学時間を除けば、
よほどのことがないかぎり原則として夜しか稼働しない。
それも第一勉から夜の12時くらいまでだ。
そのため、やけに冷える日曜の昼間などは
どの寮生も布団をかぶって寒さを凌いでいる。
ただ、例外的に暖かい部屋もあって、
乾燥機室は洗濯物を乾かすために常に
温風が部屋を暖めている。その暖を求めて
洗濯物を干しに来たままそこでじっとしている人間もいた。
また、稀に主電源を切り忘れているのか、
昼間でも補食室の暖房は作動することがあった。