死体の欲望は推し量れない。僕は窓の外に群がるゾンビ達を見て思う。そのうちの一人が自重に負け、膝から崩れる。腐臭が巻き上がる。僕は軽い嘔吐感に顔をしかめる。
死体達が蘇って数週間、ゾンビは人を襲い続けた。襲われた人間は高熱を出してすぐに死ぬ。そして死後ゾンビとして蘇る。ゾンビがどうして人を襲うのか理解できない。彼らがお互いを仲間として認識している様子はないし、襲うといっても噛み付くばかりで食べているのではない。目的なんてないままに、ともかく人間へ攻撃を加えているようだ。それ以外のことは何もしない。
ゾンビになると生前の記憶も無くすようで、最初のうちはゾンビに近付いた肉親が喉を噛み切られるといった場面も見られた。
逃げ続ける人達の間で交わされる言葉。いったい、ゾンビは何がしたいのか。僕達は一瞬が死に繋がりかねない日々を、死体の欲望を推し量りながら過ごしている。