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更夜

夜食を食べながら取り留めもないことに想いを巡らせていると、窓の外で小さくボールを撞く音が聞こえた。3回だけだったが、確かにそれはボールがアスファルトに弾む音だ。時計を見るともう4時に近い。こんな時間に誰だろうか。私は窓の外に耳を澄ませる。

すると、またボールの弾む音が聞こえた。さっきよりも勢いがある。つい数をかぞえる。今度は5回だった。その音から、ボールはこちらへ向かっているのが感じられた。夜明け方の冴え冴えとした空気の中、ボールを撞きながら歩く男の子の姿が頭に浮かんだ。そこで、私は嫌なことに気付く。足音が聞こえなかったのだ。脳裏の映像から子供の姿が掻き消え、ボールだけが跳ね回る。

また、ボールの音が聞こえた。さっきよりもずっと近い。窓のすぐ傍だ。カーテンを開けて確かめればそれで済む話だった。しかし、どうも開ける気がしない。外を見ない限り、全ては私の妄想でしかない。でも、もし外を見てしまえば。カーテンの向こうでは急かすように、いつまでもボールが跳ね続けた。


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