バラバラになってしまった高校生の息子を死体の山から選り分けて家に持ち帰る。パーツをつなぎ合わせてしかるべき秘術を施すと、死んだ息子は生き返る。私は父の威厳を込めて、目覚めた息子の前に立つ。息子は私の顔を見ると、まだ覚め切らない顔で何かを言おうとしてその動きを止めた。そして、自分の目を撫でた右手を目にすると表情を強張らせた。
「これ、女の人の腕じゃないか」
言われてみれば、息子の右腕は確かに若い女性のものだった。
「どうしてこんな間違いするんだよ。見れば判るだろ? これじゃ明日からみんなに笑われるよ」
なおも罵倒する息子の言葉を、私はうなだれて聞いていた。せめて涙目にはなるまいと、眉間をきつく寄せる。
乱暴にドアを開け部屋から息子が出ていくと、取り残された私もなるべく物音を立てないようにしながら家を出た。春の陽気も、空気に混ざる甘い馥郁さも、全てが遠くに感じられた。学校帰りの小学生達に、私はそっと道を譲る。
そもそも、父親がそうだったからという安直な理由で魔術師になったのが間違いだったのだ。私は溢れそうになる涙を手で隠す。昔、父親が間違って繋げてしまった見知らぬ女性の手で。